息子を1,843gで出産しました。
34週。まだ産休に入ったばかりで、出産準備も不十分、名前も決めていない段階で突然迎えた出産。
出産と同時に息子はNICUへ。
初めて様子を見に行くと、小さな体いっぱいに、モニターや、点滴針をつけて保育器に入っていました。
産院は母子同室の4人部屋でした。
産後、私は同室の3人のママが生んだ元気な赤ちゃん達の泣き声を聞きながら、NICUにいる息子を思って泣いていました。
今、新型コロナウイルスの感染防止のため、親が面会できないNICUも多いと聞きます。会えなければ尚更、「赤ちゃんはNICUでどうやって過ごしているのだろう?」「未熟児として生まれ、この先どうなるのだろう?」と、不安に感じると思います。
でも、大丈夫です。
息子が2歳になった今、私自身、出産当初の私に言ってあげたいです「泣かなくて全然大丈夫だよ!!」
息子は、NICUのスタッフや、その後の外来フォローで多くの先生方に支えられ、ゆっくりと、着実に成長しました。
もし同じように未熟児を産んで悲しい気持ちになっているママがいたら、少しでも安心していただけるように、NICU、GCUの様子をご紹介します。
目次
NICU
NICUってどんなところ?
NICU(新生児集中治療室)。
小さく生まれた赤ちゃんや、持病のある赤ちゃんの治療をする病室です。
赤ちゃん3人につき1人の看護師がついてくれ、赤ちゃんたちには一人ひとり、呼吸や心拍、体温などのモニターがつけられていて、ちょっとした異変にも気付けるような体制になっています。
部屋の中は常にモニター音が鳴り響いています。
感染症予防などのため、入室できるのは原則両親のみ。
感染予防の使い捨てガウンを着て、手洗い、アルコール消毒をして入室します。
両親は素手で赤ちゃんに触れられますが、看護師さんたちは必ず手袋をして接していました。
看護師さんたちは声なき声に耳を傾け続けていて、常に赤ちゃんたちのケアをしています。
忙しい中、私のような、めそめそしている未熟な親には、笑顔で励ましてくれ、もう天使のような方たちばかりでした。
訪問の度に、その間息子にどんな変化があったかも細かく教えてくださいました。
看護師さんと親とで赤ちゃんのケア方法について相談したり、変化を記録できるような交換ノートの提案もしてくださいました。
NICUでの生活
息子は、保育器の中に更に小さな囲いを作って、その中におむつ一枚でうつぶせで寝ていました。
よく、新生児をうつぶせで寝かせると突然死のリスクが上がると耳にしていたので、少し焦りましたが、うつぶせ寝は、ミルクの消化に良いとのこと。
周囲を囲まれているのは、ママのお腹の中にいる感覚と似ていて安心するそうです。
(息子は結構暴れてしまい、結局、小さな囲いは壊してしまいました)
小さな小さな手に点滴をつけ、鼻から胃にミルクを入れるチューブもつけて、さらにモニターもいっぱいつけています。
苦しくないのかなと心配でしたが、すやすや寝ていました。
食事は、定時に決まった量のミルクを与えられます。
搾乳した母乳を届けると、ミルクよりも優先して与えてくれました。
結局息子は、入院3日目に、もっと小さな子がやってきたため、GCUに移ることになりました。
NICUを出るのは少し不安でしたが、息子よりももっとケアが必要な子がいるのであれば仕方がありません。
GCU
GCUってどんなところ?
GCU(回復期治療室)。
NICUはドラマなどで見聞きしたことがあっても、GCUは知らない方も多いのではないのではないでしょうか。
NICUは主に治療を目的に入院していますが、GCUでは、退院後の生活も視野に入れて、親に対して沐浴指導や母乳指導など、生活指導もしてくれるところです。
赤ちゃん6人に対して1人の看護師がつきます。
ここでも入室は両親のみで、ガウンの着用と、手洗い、アルコール消毒は必須です。
ガウンはおむつを替える度に着替えます。
GCUでの生活
GCUに移っても、基本的なケアはNICUと変わらず、息子は点滴による栄養やミルクをもらって保育器で過ごしていました。
産後7日目、息子は初めて口からミルクを飲むことができました。
たった10ミリ。必死に飲んで、すぐに疲れて寝てしまいました。
初めて自分の膝の上でミルクを飲ませたのも、初めての授乳も、全てGCUで経験しました。
産後8日目には保育器を出てコットに移動しました。
コットは、通常の新生児室で使われているベッドです。
これで、保育器の窓から手を入れて触るだけでなく、抱っこできるようになりました。
保育器のような温度管理もされていないので、初めて洋服も着ました。
まだ点滴はついているものの、だいぶ安心して見ていられる姿になりました。
沐浴練習も始まりました。
実は私は、帝王切開後で歩くのがかなりしんどかったのですが、「赤ちゃんの沐浴ができないと退院後困りますよ」と激励を受け、タクシーで毎日GCUに通うこととなりました。
授乳も指導してもらい、無事、ミルクを追加であげなくても大丈夫なくらい飲めるようになりました。
2000 gで退院
先生から退院の条件について説明を受けました。
「お子さんは、正産期になる37週を過ぎて、体重が2,000 gになったら退院です」。
一緒に聞いていた夫と共に耳を疑いました。
「え、2,500 g以下って、未熟児ですよね」「2,000 gで退院して大丈夫なんですか?」
先生は「少し小さいですが、大丈夫です」と笑顔で返答。私たちには不安しかありませんでした。
産後19日目。無事2150gとなった息子を抱いて、帰宅。
今までガウンを着て接していた息子を普段着で抱っこすることや、私たちと同じ部屋に寝かせるのは、怖かったです。
でも、先生の仰る通り、息子はその後無事に1ヶ月を過ごし、順調に3000gを超えてれました。
退院後も1年くらい、小児科に定期的に通院し、発達状態の確認をしてもらいました。
しっかりフォローしてもらえて、心強かったです。
まとめ
突然訪れた、NICU、GCU通いの日々。
まさか我が子が未熟児で生まれるなんて、思ってもみなかったので、最初はわからないことだらけで、不安で仕方がなかったです。
けれど、息子はNICU,GCUで手厚くケアをしていただけて元気に退院することができました。
私も、温かいスタッフの方々のおかげで、自分の置かれた状況を受け入れることができました。
息子は小さく生まれて、たくさんの痛い思いや大変な思いをしたと思います。
でも、NICUやGCUのたくさんの方々に支えられたおかげで、無事に生き延びることができたのです。このことは、息子が大きくなったらしっかり伝えたいと思います。
もし今、小さなお子さんを前に不安でいっぱいになっているママがいたら、ぜひ、子供の生命力を信じて、前を向いていただきたいです。
退院後も、未熟児の発達は比較的ゆっくりなので、当面は不安も多いと思います。
息子も首が据わったのは6カ月を過ぎてから。3.4カ月健診や9.10カ月検診でも母子手帳の質問項目に「はい」と答えられないものが殆どでした。
でも、大丈夫です。多少ゆっくりでもちゃんと成長します。
「生まれたときはこんなに小さかったんだよ!」と笑顔で子供に伝えられる日が、きっと訪れることを心から願っています。